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グランメゾン・パリ

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日本での三つ星を目指す料理人たちが自身のプライドを賭けて挑む中で、嫉妬や裏切りを経験するというドラマ『グランメゾン東京』は、定番の勧善懲悪ではなく、過ちを赦してチームに入れることで強くなるという救済と人間愛がテーマの作品だった。 そんな彼らがパリで三つ星を狙うとなれば次に何を描くのか。パリの景観に溶け込むように主人公・尾花が登場し、チームとレストラン経営をしている様子が冒頭から映し出される。しかもフランス語を巧みに扱い、人種も混合のレストランで、彼が葛藤しているのは仕入れ。フランス人ではない彼らに対する地元業者の心の壁が、彼らの行く手を阻むのだ。まさに“人種差別”を料理の世界から描くといった映画から社会問題を考える作品にしてしまったのだ。 キャスティングも日本人以外の俳優をブッキング。今作では2PMのオク・テギョンがパティシエ役を務めたことで、フランス語だけでなく、韓国語、日本語、英語が飛び交う物語になっている。そんな人種混合レストランがフレンチの発祥の地であるフランス料理で三つ星を取れるのか。確かに人間関係においても「郷に入れば郷に従え」という言葉があるが、ルーツを捨ててまで個性を活かせるのだろうか。本作はドラマの映画化ならば海外ロケでスケール感をアップという定義に留まらず、言語の違う人間同士において大切なことを問う一歩踏み込んだテーマで満足度が高かった。 余談だが、親子3代で三つ星を守り続けるフランスのフレンチレストランのドキュメンタリー『至福のレストラン/三つ星トロワグロ』を鑑賞した際、「フレンチは進化し続けなければいけない」といった言葉をシェフが口にしていた。そして日本の食材を取り入れることで個性を出したと語っていたのを思い出した。確かに斬新さは大事だが、その食材に精通したシェフが料理しようとも、人種の偏見は多少なりともあるだろう。ここに目をつけた脚本家の黒岩勉含む製作チームの手腕に今後も期待する。