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春日 太一
映画史・時代劇研究家
室町無頼
25/1/17(金)
TOHOシネマズ日比谷
東映どころか日本映画としても久しぶりとなる、スケールの大きい活劇快作だった。入江悠監督は室町時代を『マッドマックス2』や『北斗の拳』のような荒野のディストピアに仕立て上げ、その中で俳優たちが暴れまわる。 そのため、室町時代のことをよく知らなくとも問題はない。全編を貫くのは、重税に苦しむ庶民のため立ち上がるヒーローと、それに駆り立てられて決起した一揆勢の織り成す、壮絶な激闘だ。 日本映画ではなかなかアクションの才能を発揮する機会のなかった堤真一と武田梨奈がついに存分に動く場を獲得、殺陣に不安のあった大泉洋は抜群の立ち回りを披露、長尾謙杜は若い肉体を激烈な棒術とともに縦横無尽に動きまくる。そして、画面を埋め尽くさんばかりに蠢く大群衆……。 これぞまさに「活」だ。 細部まで一切の隙なく設計され、隅々まで工夫の凝らしてある映像も合わせて、「東映時代劇、ここにあり!」を見せつけている。
25/1/12(日)