奇麗な、悪

やられた！ 瀧内公美に持ってかれた。映画ではありえない、まさかの一人芝居。しかも、かた時も目が離せない展開と演技力。 古びた精神科の個人病院で、自分の壮絶な人生を語り始める患者（瀧内）。その態度の悪さがかえって魅力的。何を考えているのか、女の話は本当なのか、女が話しかけている医者は存在しているのか。そして……。観客は自分が彼女の担当医になったような気持ちになってくる。面白い。 これだけの芝居をほぼ全編長回しのワンカット、台本50ページ以上を暗記して撮影に臨んだ瀧内久美。だからこその迫力であり、中盤、何かが瀧内に降りてきた感覚すらするのだ。好き嫌いが分かれる作品かもしれないが、この映画、私は好きだ。