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政治からアイドルまで…切り口が独創的
中川 右介
作家、編集者
ショウタイムセブン
25/2/7(金)
TOHOシネマズ日本橋
「劇場型犯罪」という言葉があるが、これは「テレビ型犯罪」を描いた映画。 生放送中のラジオ番組に、発電所を爆破するとの予告電話が入り、いたずらかと思っていたら、本当に爆破されてしまう。その放送局はラジオだけでなくテレビも放送していて、舞台はテレビのスタジオに移る。 テレビ局内の人間関係もいろいろあって、最初の10分くらいで、手際よく登場人物それぞれのキャラクターと関係が描かれる。犯人の狙いは何なのか、阿部寛演じるキャスターは局内で失脚したらしいのだが、その理由は何なのか、なぜ犯人は彼の番組に電話をかけてきたのかといった謎も気になるし、爆破事件が解決するのかどうかも気になり、まさに手に汗握る展開。 上映時間は98分。計りながら見たわけではないので正確ではないが、多分、物語が進む時間と、実際の時間とが一致している。つまり午後7時に始まる番組の、その本番直前から描かれるのだが、そこから90分くらいの間の出来事が描かれる。「それから10分後」というように省略しない。長回しのカットも多い。 だから、テレビの生放送の番組を見ているようでもあり、舞台劇を見ているような感覚になる。それでいて、カット割りやアングル、クローズアップも多用され、きわめて映画らしい映画でもある。 報道と政治の関係も描かれ、社会派エンタメとしてよくできている。
25/2/6(木)