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現代作曲家の立場で分かりやすく紹介

三枝 成彰

現代作曲家

新国立劇場オペラ『カルメン』

19世紀フランスで早逝した作曲家、ジョルジュ・ビゼーの代表作であるオペラ『カルメン』。いまでは世界じゅうのオペラ・ファンに愛される傑作ですが、その評価がビゼーの死後であったことはあまり知られていません。 当初は音楽とセリフのあるお芝居が一体となった“オペラ・コミック”として書かれ、ビゼーもできばえには自信を持っていたといいます。しかし、出演する演奏家や合唱団からは不評を買い、それまでのオペラにはいなかったカルメンという個性際立つヒロインの登場と、刺激の多いストーリーもあってか初演は賛否両論だったそうです。 その後、徐々に人気が出たため、劇場からあらためて全編を歌に直したグランド・オペラ版への改作のオファーを受けたのですが、ビゼーは体調を崩して急死。その仕事を友人の作曲家エルネスト・ギローが引き継いで完成させたことで、グランド・オペラ『カルメン』は日の目を見たのです。今日でもオリジナル版、改訂版ともに上演される機会のある、珍しい作品でもあります。 2月26日(水)から東京・初台の新国立劇場オペラパレスで上演される『カルメン』は、2021年の新制作。当時はまだコロナ禍で、制約のあるなかでの上演だったため、今回は満を持しての“フル・スペック”による再演。スペイン出身のアレックス・オリエさんの演出は歌手・カルメンを前面に押し出したもので、ドラッグ問題などもからめてこの傑作を“いま”の物語として再構築しようとするもの。興味は尽きません。指揮はガエタノ・デスピノーサさん、出演はサマンサ・ハンキーさん(カルメン)、アタラ・アヤンさん(ドン・ホセ)、ルーカス・ゴリンスキーさん(エスカミーリョ)、伊藤晴さん(ミカエラ)ほか。

25/2/18(火)

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