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高松 啓二
イラストレーター
セプテンバー5
25/2/14(金)
TOHOシネマズ日比谷
1972年ミュンヘンオリンピック。9月5日に起こったテロ事件が、タイトルの由来である。パレスチナのテロ組織“黒い9月”が、イスラエル選手を人質に立てこもったのである。本作は現地で生中継をしたアメリカABCTV局クルー達を描く。彼らは報道局ではなく現地を取材していたスポーツ局だった。プロデューサーのメイソンが冷静かつ的確に指揮を執り中継し、ABCスポーツ社長アーレッジが判断を下し、重役のベイダーが慎重に意見しつつ、必死で報道する姿に引き込まれる。ほとんどTVコントロールルームが舞台で、事件場面はTV画面で映るだけ。徹底的にクルー達目線で語られる。そんな中、ドイツ人スタッフの通訳マリアンネが、ドイツTVニュースを訳し、外の世界との橋渡しになっているのが面白い。実話なので結果が分かっていても緊迫感が画面に伝わり、手に汗握る! しかし、当時は規制も無く報道する事で犯人に有利になったり、情報が錯綜したりとジャーナリズムのあり方を考えさせられる。ちなみに2021年の東京オリンピック開会式で、初めて事件で犠牲となったイスラエル選手団に黙祷が捧げられた。
25/2/11(火)