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演劇鑑賞年300本の目利き
大島 幸久
演劇ジャーナリスト
歌舞伎座松竹創業百三十周年「三月大歌舞伎」
25/3/4(火)~25/3/27(木)
歌舞伎座
久しぶりに歌舞伎公演を紹介しましょう。楽しみで大注目しているのが歌舞伎座「三月大歌舞伎」。『仮名手本忠臣蔵』が通しで上演されるのだから。 注目その①=出演俳優がAプロ、Bプロに分かれて競演するのが特色。ミュージカル公演ではダブル、トリプルキャストが近年増えてきたものの歌舞伎では珍しい。 その②=「松竹創業130周年記念」の企画として三大名作一挙上演の第1弾が「忠臣蔵」。続いて9月に『菅原伝授手習鑑』、10月に『義経千本桜』をともに通しで上演する。義太夫狂言三大名作の一挙上演は30年ぶりというのだから見逃す手はない。 配役を見よう。特に注目されるのが四段目・「扇ヶ谷塩冶判官切腹の場 表門城明渡しの場」でAプロが片岡仁左衛門の大星由良之助、Bプロが尾上松緑。塩冶判官は中村勘九郎vs菊之助。五・六段目はAプロの勘平が菊之助、おかるが中村時蔵、Bプロは勘九郎、七之助。そして七段目「祇園一力茶屋の場」でAプロの由良之助が片岡愛之助、Bプロは仁左衛門。花形と大看板が世代を超えて全力を尽くして競うことになるのだから。 13代目市川團十郎襲名披露、8代目新之助の初舞台という2年がかりの公演が昨年10月にピリオドを打った。そして今年5月からは8代目尾上菊五郎の襲名興行がいよいよ開幕する。 1等席は18000円でも舞台全体を見渡せる3階B席は4000円。歌舞伎に目を向け、人気復活への絶好の機会なのだから、何回でも観劇するために、三大名作を制覇するために、さあ、貯金しましょう。
25/2/20(木)