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坂入 健司郎

指揮者

濱田芳通&アントネッロ モンテヴェルディ オペラ『オルフェオ』新制作

オペラ誕生のきっかけとなった「オルフェオ」をご存知だろうか。 イタリアの作曲家モンテヴェルディが作曲したもので、今から400年以上前の1607年に北イタリアのマントヴァで初演された音楽寓話劇である。 ギリシャ神話に登場する人物であるオルフェオの物語が描かれており、エウリディーチェを花嫁に迎えたオルフェオが幸せに暮らしているところ、エウリディーチェが蛇の毒牙によって死んでしまったことを知らされる。オルフェオは妻を連れ戻すため、冥界のある奈落の底に旅立つが、冥界での約束に反してしまう…という、ルネサンス運動のギリシャ悲劇の復興とも連関する作品だ。 この『オルフェオ』は、オペラの誕生の礎となったにも関わらず、近年まで上演される機会が無かった。再演のきっかけになったのは、1954年にオペラ形式で復元演奏をおこなったパウル・ヒンデミットの尽力が大きい。この上演に携わったニコラウス・アーノンクールは、オーケストラの楽器も400年前に近いかたちの古楽器を用いて1969年に録音を実施。その頃から、1985年にはジョン・エリオット・ガーディナー(イギリス)、2002年にジョルディ・サヴァール(スペイン)など、世界中で上演されるようになってきた。アーノンクールからの蘇演から五十数年、古楽演奏は長足の進歩を遂げている。 今回の上演では、昨年のサントリー音楽賞受賞記念コンサートにおけるヘンデル『リナルド』の歴史的名演が記憶に新しい、濱田芳通氏とアントネッロが登場。世界に発信する至高の『オルフェオ』に出会えるに違いない。是非足を運んで頂きたい公演だ。

25/2/17(月)

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