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現代の名人芸を追い続けて
山本 益博
料理評論家、落語評論家、プロデューサー
三三 柳家三三を上書きする シン・道楽亭おでかけ公演
25/3/18(火)
北沢タウンホール
落語家の格言に「らしく、ぶらず」というのがある。「噺家らしく、ただし、噺家ぶらない」ことが大事ということである。 師匠の人間国宝だった柳家小三治が亡くなって、落語界中堅の地位の自覚が高座の様子に伺えるようになってきた柳家三三(さんざ)が、このところ着実に噺に磨きをかけている。 その三三が人情噺の大ネタ『百年目』を高座にかける。噺は桜が満開の季節、大店の主人と大番頭の信頼関係を巡る人間模様が、この噺の眼目。噺の終盤がヤマ場だが、それまでは実直を装う粋な遊び人大番頭治兵衛をたっぷり演じなくてはならない。このところ、若手で『百年目』に挑戦する落語家も出てきたが、年の功が噺の出来を左右することは言うまでもない。 私が、今まで聴いてきた中では、六代目三遊亭圓生、先代の桂文枝、現柳家権太楼の名高座が、今でも脳裏に蘇ってくる。さて、柳家三三がこの人情噺をどのように料理するのか、興味が尽きない。
25/2/24(月)