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水上 賢治

映画ライター

ケナは韓国が嫌いで

韓国で大きな反響を呼んだベストセラー小説を映画化した韓国映画になるが、日本にもすごく重なり既視感を覚える内容だ。 早朝にバスに乗り込むと電車に乗り超え、片道2時間、会社に到着した時点ですでに疲労困憊。そうやって働く勤め先も仕事の内容も自分に合っているのかどころか、自分が望んでいるのかもわからない。そして、働いても働いても暮らしは楽にならない。この国の伝統的価値観に、この社会のシステムに、この会社の歯車に、余計なことは考えずに乗ってしまえば楽かもしれない。でも、それでは自分ではなくなる。ここではないどこかに自分の居場所があるのではないか?と本作の主人公・ケナは旅立つ。どこにも居場所を見出せない彼女の存在に共鳴するいまの日本の若い世代は案外と多い気がしてならない。 また、ケナを等身大で演じ切っているのは、ポン・ジュノ監督の『グエムル/漢江〈ハンガン〉の怪物』で天才子役として脚光を浴びたコ・アソン。しっかりとキャリアを重ね気づけば 30代に入っていた彼女の現在地にも出会える映画である。

25/3/7(金)

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