ヴァチカンのローマ教皇が急死した。ローレンス主席枢機卿は、次の教皇を決めるための教皇選挙＝コンクラーベを行う。外部から完全に遮断された神聖な儀式なので、その様子は興味深い。選挙は100人以上の枢機卿の中から選ばれ、3分の2以上の票に達しなければ何度でもやり直す。有力な保守派、リベラル派、過激な伝統主義者、アフリカ系枢機卿などの上位の候補者で争われる。この対立構造は昨今の世相を想起させられる。レイフ・ファインズはじめスタンリー・トゥッチ、ジョン・リスゴーなどの芸達者の役者陣の重厚で静かな演技合戦が見ものである。特にローレンス役のレイフ・ファインズは蠢く思惑やスキャンダルの狭間で揺れ動く心情を目で演じる。その舞台となる荘厳で神聖なシスティーナ礼拝堂内部は圧巻で、生々しい選挙戦とのギャップが効いている。ちなみに選挙結果は礼拝堂の煙突の煙で知らせられ、黒は未決定、白が決定になる。さて誰になったのかは観てのお楽しみ。

25/3/15(土)