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水先案内人のおすすめ

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政治からアイドルまで…切り口が独創的

中川 右介

作家、編集者

花まんま

花びらを集めて、それを食材に見立てて弁当箱に詰める。それを「花まんま」というらしい。その「花まんま」が、物語中盤とラストに出てくる。 自分のなかに他人の記憶が混ざり、行ったこともない所や会ったこともないひとのことを話せるひとがいるという話は、わりとある。これは、そういうお話のひとつで、有村架純演じる女性は、若くして亡くなった女性バスガイドの記憶を持っている。 そういう一種の超常現象を折り込みながら、鈴木亮平と有村架純が演じる兄と妹の物語が描かれる。中盤は子ども時代の回想で、その子役ふたりが泣かせる(だいたい、子役というのは泣かせる名演技をするものだが)。 ファンタジー設定だが、関西が舞台で、関西弁で進むこともあって、普通の庶民の物語の外見を持つ。「普通の人」代表の鈴木亮平は、この設定を飲み込めず、現実の問題として立ち向かうから、イライラしている。ファンタジーを受け入れている有村架純は、不可思議な事態を平然と受け入れて、淡々と暮らしている。この異質な兄と妹の噛み合わなさが、どう融合するかが見どころで、結婚式のシーンがクライマックス。 すべては、ラストでの有村架純の表情のためにある映画で、これには、うちのめされる。

25/4/22(火)

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