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名画座女子の極私的旧作邦画セレクト
のむみち
名画座かんぺ発行人
映画で紐解く――花街、色街、おんなの街
25/4/5(土)~25/5/2(金)
神保町シアター
神保町シアターでは、花街に生きる女たちを描いた作品の特集が開催。芸妓、遊女を扱った映画には良作がたくさんあります。今回の特集では、古いところだと、姉が芸者であり自身も祇園などで毎夜飲み歩き、色街の女を描くのを得意とした溝口健二の『噂の女』(1954)から、上海の高級遊郭が舞台のホウ・シャオシェンによる『フラワーズ・オブ・シャンハイ』(1998)までが取り上げられています。また、週替わりで組まれる4本のプログラムのうち、各週日活ロマンポルノ作品が1本入っているのも特徴的。今回上映される16本のうち、個人的にお気に入りなのは、『甘い汗』(1964)と『骨までしゃぶる』(1966)。京マチ子の色香が堪らない『甘い汗』では、桑野みゆきも京の娘役を好演。本作では女子高生の役を演じる桑野ですが、この年には『夜の片鱗』でも堕ちていく女を熱演しており、演技の幅に驚かされます(実年齢は22歳)。『骨までしゃぶる』は、桜町弘子がとにかく絶品。この間まで開催されていたラピュタ阿佐ヶ谷の東映時代劇特集で改めてその魅力にすっかりやられてしまい、そんな桜町の代表作である本作をスクリーンで観られるのは嬉しい限り。エンディングも最高、旧作邦画ファンはみんな大好きな一本です。哀しい境遇に置かれながらも、力強く、逞しく、したたかに生きて行くヒロインたちの強さにきっと勇気づけられること間違いなしの女性映画の名作群を、この機会にぜひ、スクリーンで!
25/3/31(月)