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水先案内人のおすすめ

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アニメも含め時代を象徴する映画を紹介

堀 晃和

ライター(元産経新聞)、編集者

HERE 時を越えて

物語が「ひとつの舞台」で紡がれる映画は過去にもあった。有名作品では、ヒッチコック監督『ロープ』(1948)や川島雄三監督『しとやかな獣』(1962)。いずれも一室でドラマが進行する。 ロバート・ゼメキス監督『HERE 時を越えて』は徹底している。上記2作でカメラは動いたが、本作は1カ所に固定されたまま。時は流れて恐竜の時代からアメリカの住宅地となり、1907年に一軒家が建つ。舞台は1階のリビングだ。複数の家族の人生が現代にかけて描写される。 注目すべきは演出だ。小道具を使って世相も描く。電話はダイヤル式からスマートな形状へ。テレビも丸みを帯びたブラウン管が平面になる。ある夜、米人気音楽番組『エド・サリヴァン・ショー』が映し出され、ビートルズが生出演。1964年2月9日とわかる。画面に別の映像を挟み込む“小窓”の多用も効果的だ。 ゼメキス監督といえば、SF作品『バック・トゥ・ザ・フューチャー』を思い浮かべる人は多いだろう。ただ、アカデミー賞作品賞や監督賞などに輝く『フォレスト・ガンプ/一期一会』などの人間ドラマも秀逸だ。同作に出たトム・ハンクスとロビン・ライトの共演も見所。偉大な監督の経歴に、新たな名声を刻む1作となった。

25/4/4(金)

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