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釣木 文恵

演劇ライター

上田航平単独公演『劇団をつぶした男』

お笑いコンビ・ゾフィーを解散後、ユニットを組んで海外でのコント公演などを行っている上田航平さん。コント日本一を決める賞レース『キングオブコント』決勝進出経験もある彼は、かつて劇団を率いていました。しかし、彼の“尖りすぎた”言動のせいで、20人ほどいた劇団員が全員去ることに。知る人ぞ知るこのエピソードが、舞台化されます。脚本・演出はダウ90000の蓮見翔さん。「上田航平単独公演」と銘打たれていますし、たった1回の上演ですし、演劇というよりはコントライブのようなつくりなのかもしれません。ただ、「劇団が崩壊する」というノンフィクションをベースにした物語には、演劇が好きだからこそ興味があります。また、その作・演出を他者に委ねて本人が演じるという形態は、ちょっと観たことがないものが観られそうな予感がします。蓮見さんはさまざまな人に脚本提供する作家ではありますが、ダウ90000以外で「作・演出:蓮見翔」とクレジットされた公演は2021、22年に上演された『夜衝』『夜衝2』くらいではないでしょうか(他にもあったらごめんなさい)。『夜衝』は玉田企画の玉田真也さん、画餅の神谷圭介さんが企画し、伊藤修子さんやロロの森本華さんらも参加したコントライブで、それは素晴らしいものでした。それもあって、「作・演出:蓮見翔」の公演は見逃せないのです。

25/4/9(水)

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