評論家や専門家等、エンタメの目利き&ツウが
いまみるべき1本を毎日お届け!
日本映画の新たな才能にフォーカス
イソガイマサト
フリーライター
片思い世界
25/4/4(金)
TOHOシネマズ日比谷
広瀬すず、杉咲花、清原果耶……それぞれ第1線で活躍する3人がワチャワチャ楽しそうにお喋りをし、どこにでも転がっていそうな何気ない日常を過ごす姿が微笑ましくて、その光景をずっと見ていたくなる。ところが3人には秘密があって……。その秘密=仕掛けに触れないと本作の魅力や脚本家・坂元裕二と監督・土井裕泰の『花束みたいな恋をした』(21)コンビがやろうとしたことについて書けないけれど、ここでその秘密=仕掛けを明かしてしまうと、これから映画を観ようと思っている人たちの驚きや感動を奪ってしまうので、そこがちょっと歯痒い。 いや、逆に何も情報をまったく得ずに、3人の日常を覗き見るような感覚でスクリーンに臨んだ方が本作のかけがえのないメッセージが胸に染み入るはずだ。 それにしても、坂元裕二は『ファーストキス 1ST KISS』(25)にしろ本作にしろ、映画やドラマで散々やり尽くされた仕掛けを自分の世界観に相応しい装置として自然に取り入れるのが上手いな~。映画を終わるころには、間違いなくもう一度最初から観たくなっている。タイトルの“片思い”に込められた意味を噛み締めながら。
25/4/7(月)