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平辻 哲也
映画ジャーナリスト
太陽の運命
25/4/19(土)
ユーロスペース
沖縄を見つめ続けてきた佐古忠彦監督によるドキュメンタリー第4作は、普天間基地問題をめぐる30年の軌跡を通して、日本社会が抱える矛盾を静かに、だが鋭く問いかける。報道現場での豊富な経験を活かし、沖縄の「声なき声」に寄り添う視線が一貫している。 本作では、政治的立場の異なる2人の沖縄県知事──大田昌秀と翁長雄志──に焦点を当てた。学者肌で現場主義を貫いた大田、保守から出発しながら信念を貫いた翁長。それぞれの姿は、政治家というより“人としてどう生きるか”を体現。その違いのありようがドラマチックで、引き込まれる。 背景には、佐古監督が尊敬する筑紫哲也の言葉──「沖縄には、この国の矛盾が詰まっている」がある。辺野古基地建設を象徴とする変わらぬ現実を、声高に批判するのではなく、静かな語り口だからこそ、心に深く残る。
25/4/17(木)