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日本美術、西洋美術をバランス重視で
木谷 節子
アートライター
特別展「蔦屋重三郎 コンテンツビジネスの風雲児」
25/4/22(火)~25/6/15(日)
東京国立博物館
2025年の大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」と連携した展覧会。大河関連の展覧会は毎年どこかで開催されるが、今年は江戸の天明・寛政期を彩った絵師や文化人が次々と登場するドラマとあって、劇中に出てきた作品のオリジナルを、東博の豊富なコレクションを中心に堪能できる美術展となっている。 私としては、礒田湖龍斎や北尾重政など、通常の浮世絵展ではビッグネームの陰に隠れてしまいがちな浮世絵師たちの作品や、『画本虫撰』ほか歌麿の「美人画ではない」初期の傑作をじっくり見られたことが収穫だった。 ちなみに、しれっと展示されていた歌麿の《歌まくら》は、東博150余年の歴史上初の春画の公開なのだそう。情事の最中であるにもかかわらず、しっかり開いた男の目は結構コワイ。ドラマで使われた実際のセットによる吉原大門や、桜満開の仲之町、後に蔦重の本屋「耕書堂」が進出する日本橋界隈の再現など、東博らしからぬエンタメ要素全開の演出も、NHKとのコラボならではで新鮮だった。
25/5/6(火)