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ドキュメンタリー評論のエキスパート
村山 匡一郎
映画評論家
OKAは手ぶらでやってくる
25/5/10(土)
K's cinema
「ひとりNGO」としてボランティア人生に徹した栗本英世について初めて知った。2022年に71歳で逝去した彼は、小学校時代から教会に通い、若い頃からさまざまなボランティア活動に従事。とりわけ人身売買の子どもたちを救うために東南アジアを訪れてから、地雷撤去、HIV患者の支援などを行い、カンボジアに「こどもの家」を設立して活動し、カンボジア語でチャンスを意味する「OKA」と呼ばれた。そんな栗本の波乱に富んだボランティア人生を追ったドキュメンタリーだ。栗本のボランティア精神は「物資より自立」というキリスト教と経験に根づいた信念であり、ラストで「こどもの家」が大きく成長した姿に感動を覚える。人に歴史ありというが、栗本の異色の人生には目を見張らざるをえない。
25/5/10(土)