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夏目 深雪

著述・編集業

マリリン・モンロー 私の愛しかた

セックスシンボルとして一世を風靡したにもかかわらず、36歳で惜しくもこの世を去ったマリリン・モンロー。このドキュメンタリーでは親交の深かった人々のインタビューと貴重なフッテージを中心に彼女の人生を紐解いている。 観ていて、同じように何本ものドキュメタンリーや劇映画が撮られているホイットニー・ヒューストンとの類似を感じた。若い頃の性虐待、同性愛、薬物中毒、夫との不仲など連なるエピソードが同じなのだ。才能がある女性が世に出るには、性的な要素を前面に出すしかなかったり、せっかく愛する人と一緒になっても、夫に才能を嫉妬され家庭に縛り付けられそうになって飛び出したり、起きることは同じなのだろう。 ホイットニーの『オールウェイズ・ラヴ・ユー』のサビが、バラエティ番組で流れ今でも消費されるように、『七年目の浮気』でマリリンの白いスカートがふわりとまくり上がるシーンは今でもセクシーなアイコンである。オツムの弱い金髪女という一時期の役のイメージと違って、実際の彼女は戦略家で演技派を目指していたということが世に知らしめられるのはいいことだろう。だがホイットニーと同じく、早過ぎた死、幸せとは到底思えない状況で亡くなった彼女のことを思うと胸が痛い。 過酷な現実を、ホイットニーの映画の場合は神懸かり的な歌唱が中和したが、マリリンの場合は弾けるような官能性が中和してくれる。今観ても決して古びていない、彼女の貴重なフッテージを見るうちに、彼女の映画を観直し、新たに発見していきたいと思わせる優れたドキュメンタリーである。

25/5/13(火)

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