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水先案内人のおすすめ

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政治からアイドルまで…切り口が独創的

中川 右介

作家、編集者

リライト

青春タイムリープもの。ときいて、「またか。でも、どうせ『時をかける少女』にはかなわないだろう」と思う人こそ、見るべき映画。ここで言う『時をかける少女』とは、もちろん、いまや古典となった1983年の大林宣彦監督がつくったもの。 『リライト』の原作の小説は作者の出身地である静岡が舞台だったが、映画は、あえて尾道を舞台にしている。大林映画ファンにとっては、見たことのある景色が出てくるので、懐かしい。 小説では中学生が主人公だが高校生にしてあり、池田エライザや橋本愛が高校生の役で出演。というのも、その10年後が映画の中の現在の時制だからで、高校時代は回想シーンとして出てくる。さすがに彼女たちに中学生の役は無理なので、高校生にしたのだろう。そして見事に高校生を演じている。 池田エライザ扮する「美雪」は小説家。彼女は高校時代に出会った転校生の男子とのひと夏を小説に書いた。その転校生は、「300年後から来た未来人」だと自分で明かし、未来へ帰ってしまう。 ここまでなら、何もいまさら映画にする必要もない話だが、そこから話が複雑になっていく。単なるタイムリープものではなく、タイムパラドックスものになっていくのだ。橋本愛が、最初は「その他のクラスメート」のひとりという扱いなので、もったいない使い方だなと思っていたら、後半になって、重要人物になっていく。 タイムパラドックスの真相と結末は、ちょっと強引というか、いくらなんでもありえないだろうと思うが、その無理を映像の力でねじ伏せてくれる。

25/5/14(水)

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