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政治からアイドルまで…切り口が独創的
中川 右介
作家、編集者
か「」く「」し「」ご「」と「
25/5/30(金)
丸の内ピカデリー
ある高校の男子2人と女子3人を中心にした学園青春映画。といっても、よくある三角関係とかいまどきの同性愛とは無縁の世界。 高校2年生の1学期の終わりから、演劇祭があり修学旅行があり、お互いにそれぞれの一面が少しずつ分かったり、誤解があったりして、3年生の受験シーズンまでかかって、ようやく男子が女子に告白する。かなりじれったい。だが、このじれったさが青春なのだろう。 ストーリーは他愛ないが、原作の小説もそうだったが、描かれ方がユニーク。タイトルに「 」がたくさんある理由は、見ていくと、分かってくる。 仕掛けのひとつは、彼らはそれぞれ特殊な能力を持つ。他人の感情が分かるのだ。ただ、相手の心が完全に読めるわけではない。男子のひとりは、他人の頭の上に「?」と「!」の記号が見える。その人が疑問に思っているか、びっくりしているかだけが分かる。 女子のひとりは、相手の気分が高まっているか沈んでいるかが分かる。こんな感じで、5人はそれぞれ、不完全ながらも、相手の感情が部分的に分かるという設定。 自分が好きなひとが自分をどう思っているかが分からなくて悩むのが青春というもので、相手の心が分かれば話は簡単なのだが、完全には分からないので、新たな悩みが生じる。この設定がうまい。 もうひとつの仕掛けは、5人それぞれの視点で順番に語られていく構成。だから、主人公が次々とかわっていく。 映画としての見どころは、ダブル主演の奥平大兼、出口夏希をはじめ、佐野晶哉(Aぇ! Group)、菊池日菜子、早瀬憩といった、注目の若い俳優たちが揃っていることだ。
25/5/10(土)