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演劇鑑賞年300本の目利き

大島 幸久

演劇ジャーナリスト

『星の降る時』パルコ・プロデュース 2025

『星の降る時』で期待する第一は栗山民也の演出、二に三姉妹を演じる江口のりこ、那須凜、三浦透子、三が会話劇である台詞の面白さだ。 舞台に立つ俳優の誰でもが受けたい栗山の演出力。2023年に英国ナショナル・シアターで初演され、翌年のローレンス・オリヴィエ賞のベストプレイにノミネートされ、早くも日本初演となる気鋭の劇作家ベス・スティールの秀作だから“栗山マジック”が期待されるのである。 「三姉妹」といえばチェーホフの傑作が知られるが、かつて栄えたロンドン近郊の炭鉱町が舞台の今作も姉妹の性格の相違が物語を彩るのだろう。 江口が演じる長女ヘーゼルは、夫のジョン(近藤公園)が失業中。自分は倉庫勤務で、夫婦の間には娘が2人いる。次女マギーは町に嫌気をさし、実家を出ている。那須が演じる。そして三女シルヴィアは三浦。ポーランド移民のマレクと恋に落ち、その結婚式当日が舞台背景になっている。ハレの日である結婚式に次女マギーが久しぶりに姿を見せる中で、家族の過去の確執などが爆発する。 国際結婚の困難さはどの国にもある。二つの文化が出会い、家族と愛情の関係を探るのがテーマのようだ。三姉妹の父トニーの段田安則、叔母キャロルの秋山菜津子の台詞術が楽しみだ。

25/5/10(土)

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