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佐藤 久理子
パリ在住、文化ジャーナリスト
ロザリー
25/5/2(金)
新宿武蔵野館
髭面の女性が主人公などと聞くと、B級カルト映画のように思われるかもしれない。しかし本作はれっきとしたシリアスな人間ドラマだ。他人と異なる肌を持った女性が、困難を乗り越え自由と愛を勝ち取ろうとするさまを官能的に描き、魅せられる。 普仏戦争で大敗した爪痕の残る、1875年のフランスの田舎町。多毛症を隠して結婚したロザリーは、初夜にそれを知った夫に拒絶される。だがいつか夫が理解してくれることを信じて献身的に尽くす。一方、夫もそんな彼女に次第にほだされていくのだが。 フランスの人気俳優、ナディア・テレスキウィッツが茶目っ気たっぷりにロザリーに扮し、全方位的な魅力を放出。夫役のブノワ・マジメルとのコンビにより、繊細で情感豊かな恋愛譚を紡ぐ。フランス映画らしいといったら偏見かもしれないが、このロマネスクな感覚がたまらない。
25/5/11(日)