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芸術・歴史的に必見の映画、映画展を紹介

岡田 秀則

国立映画アーカイブ主任研究員

MOT Plus サウンドウォーク・コレクティヴ & パティ・スミス|コレスポンデンス

ロックミュージシャンとして長く崇敬を集めてきたパティ・スミスが、もう一つの領域である詩とアート活動を提げて日本に上陸している。音響芸術集団サウンドウォーク・コレクティヴとの協働で成立した、詩と映像と音響を大胆に組み合わせたプロジェクトである。 美術館地下の巨大なホワイトキューブの4つの壁いっぱいに、計7面の映像が展開している。イタリア映画史の永遠の傷痕であるピエル・パオロ・パゾリーニ殺害事件を描いた映画には、そのパゾリーニの『王女メディア』の抜粋やメイキングが対置される。チェルノブイリ周辺の廃墟に残された市民生活の痕跡には、中世ロシアのイコン画家の苦悩に迫ったタルコフスキー『アンドレイ・ルブリョフ』の詩性が結びつけられる。そして人間による地球環境の破壊も、調査に基づいた暗喩的ならざるスタイルで力強く表現される。 いずれの映像も、そこに付されたパティ・スミスの詩文の朗読に圧倒的な深みがあり、それを支える重低音の響きにも魅入られる。特に聴き逃せない詩は、氷河や永久凍土の融解に寄せた「アナーキーの王子」だろう。8作品で計1時間50分あるが、一度見始めたら途中で去るのは難しくなる。6月29日まで。

25/5/13(火)

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