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日本映画の新たな才能にフォーカス

イソガイマサト

フリーライター

新世紀ロマンティクス

中国の名匠ジャ・ジャンクーによる壮大な映像叙事詩。これまでと同様、監督の妻チャオ・タオが主演を務め、『青の稲妻』(02)、『長江哀歌』(06)などの過去作の本編映像や未使用映像に新たな映像を加えた3章からなる本作は、過去と現在、フィクションと現実を交錯させながら、2001年の幕開けとともに急成長を遂げた中国の20数年をまざまざと浮かび上がらせる。 ジャ・ジャンクー監督の作品をずっと観てきた人はどこか懐かしさを覚えるかもしれない。だが、その時代ごとに異なるカメラで撮った映像はフレームのサイズもバラバラだから、プライベートフィルムを覗き見ているような感覚にもなる。それでいて、私たちも経験した新型コロナウィルスのパンデミックやAIをめぐる現代のリアルな問題がドキュメンタリーのように紡がれるから、自ずと前のめりになっていく。 中でも最も奇抜で、驚くべき効果をあげているのが若きチャオ・タオの20年前の映像だ。こんなこと、俳優である妻と強い信頼関係で結ばれ、長年連れ添いながらその時々の彼女を撮りためていたジャ・ジャンクー監督にしかできない術。歳を重ねたチャオ・タオを大きく姿を変えた同じ中国山西省の都市・大同に再び立たせたことで、本作のテーマがより視覚に訴える形で迫ってきた。

25/5/12(月)

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