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映画のうんちく、バックボーンにも着目

植草 信和

フリー編集者(元キネマ旬報編集長)

MaXXXine マキシーン

わずか一本のヒット作を生み出すことさえ至難と言われている映画界にあって、創設から13年間にもわたってヒット作・話題作を連発している「A24」は、まさに「奇跡の映画スタジオ」といっても過言ではないだろう。米インディペンデント映画スタジオ「A24」が設立されたのは、2012年。15年に『ルーム』を配給、翌年製作した『ムーンライト』でアカデミー賞作品賞、助演男優賞、脚色賞の3部門、さらに22年『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』では作品賞・監督賞を含む最多7冠を達成、“エブ・エブ”の略称で世界的に話題になったことは今でも記憶に新しい。 本作『MaXXXine マキシーン』は、その「A24」の最大のヒットシリーズとなる『X エックス』『Pearl パール』に続く最新作。『X エックス』で描かれたテキサスでの凄惨な猟奇的殺人事件の現場からただひとり逃げのびた主人公マキシーンの、6年後からはじまる。そのマキシーンと、『Pearl パール』で映画史上最も無垢なシリアルキラーといわれるパールの両方を演じてきた、ミア・ゴスが今回も主演を務めている。 お話も「A24」らしく、ポップで奇抜。1985年のハリウッド。巨大な撮影所に現れたブロンドの女、その名はマキシーン。ポルノ界で人気を極めた彼女は、「本物のスター」になるために新作ホラー映画『ピューリタンⅡ』のオーディションに挑む。その頃のLAは、連日連夜ニュース報道される連続殺人鬼「ナイト・ストーカー」の恐怖に包まれていた。マキシーンと殺人鬼の関連は……? 「A24」ならではのハジケた世界観を感じさせる物語だ。 ミア・ゴス以下のキャスティング、キャラクターも、スゴい。ホラー映画を心から愛し、マキシーンを大抜擢する映画監督を演じるのは『TENET テネット』のエリザベス・デビッキ、6年前にマキシーンの身に起きた猟奇的殺人事件の真相を知る謎の私立探偵に『激流』『インビジブル』のケヴィン・ベーコン、マキシーンのライバルの女優に『エミリー、パリへ行く』シリーズのリリー・コリンズが扮して、おどろおどろしい物語を醸成していく。監督・脚本は『X エックス』『Pearl パール』に続きタイ・ウエストが務めている。 「A24」史上、最高にクールでイカしたモンスター的ニューヒロイン「マキシーン」が、ハリウッドの闇をどのように切りひらいていくのか。「A24」作品はどうも苦手という人にもおススメできる、痛快なスリラー・エンタテインメント映画だ。

25/5/20(火)

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