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ドキュメンタリー評論のエキスパート
村山 匡一郎
映画評論家
劇場が終わるとき
25/5/24(土)
ユーロスペース
第2次大戦後の映画の黄金時代を知る映画館はほとんど残っていない。1950年に創立された沖縄の首里劇場も2022年に幕を下ろし、老朽化した建物の解体を待つ日々。そんな首里劇場を、写真家の石川真生が写真に撮る姿を追ったドキュメンタリーだ。黄金時代の満員の観客、3代続いた館主の金城家など、当時の写真や記録映像で劇場の歴史をたどりながら、病気を抱えた石川は朽ちたような館内の写真を撮り続ける。成人映画専門館となった時の大量のピンク映画のポスター、2014年12月にフィルム上映終了とある映写室の壁など、劇場の栄枯盛衰を見る思いがする。一方、招いた踊り子など被写体に工夫を加えて華を添える石川。たかが映画館、されど映画館。首里劇場はまさに時代の変化を映し出す鏡といえる。
25/5/20(火)