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イソガイマサト
フリーライター
ノスフェラトゥ
25/5/16(金)
TOHOシネマズ シャンテ
1922年のサイレント映画の名作『吸血鬼ノスフェラトゥ』をリメイクしたゴシック・ホラー。そう聞くと、美しくて静かな恐怖がじわじわ攻めてくる雰囲気重視の作品をイメージしがちだが、いやいや、そんなことはなかった。 オリジナルを敬愛し、多大な影響を受けているロバート・エガース監督(『ライトハウス』)が満を持して放った本作は、当時の建物や衣装、美術や小道具の細部に至るまで“本物”にこだわり抜いて、厳かな世界観をリアルに再現。ヒロインのエレン(ジョニー・デップの娘、リリー=ローズ・デップ)が毎晩のように得体の知れない“男”の幻覚に悩まされ続ける前半もおぞましい悪夢の映像が繰り返されるだけで、静かなムードはそれほど崩れない。 映画が大きく動き出し、作品のテイストが“静”から“動”に変貌するのは、ウィレム・デフォー演じる医師のフォン・フランツがエレンを治療するために登場するところからだ。いったい何が起こっているのか? 静けさを破っていよいよ異型の姿を露わにする吸血鬼の正体は? フォン・フランツはそんな怪物にどう立ち向かうのか? そこからがロバート・エガース監督が現代に蘇らせた新しい『ノスフェラトゥ』の最大の見どころ。大きなスクリーンで極上の“恐怖”を体感し、震撼して欲しい。
25/5/20(火)