史上最悪の運命の悪戯を、底なし沼のごとく深い闇を有する漆黒の映像で生々しく描き上げた最恐のミステリー。いったい彼女の何がいけなかったのか？ 貧困に喘ぐカロリーネは勤め先の工場長と恋に落ち、ようやく幸せを手に入れるが、身分違いの恋は実らず、捨てられた挙句に失業。やがて妊娠していることに気づいた彼女はもぐりの養子縁組斡旋所を経営し、望まれない子供たちの里親探しを支援するダウマと出会う。しかし、それが想像を絶する恐怖の始まりだった！ カロリーネを次々に襲う生き地獄の連続に息をのみ、ラストで明かされる真実には誰もが震え上がるはずだ。何しろ、そのおぞましい出来事は、第一次世界大戦後のデンマークのコペンハーゲンで実際に起きた連続殺人事件がモチーフ。作り物ではない本物の恐怖がいつまでもベタッとまとわりつくが、北欧の若き鬼才マグヌス・フォン・ホーンの小細工をしない揺るぎのないタッチは鮮烈！ 戦慄するだけではなく、カロリーネを通して目にした悪夢の背景について深く考えることになる。

25/5/22(木)