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時代と向き合う映画を鋭い視点で紹介
佐々木 俊尚
フリージャーナリスト、作家
秘顔-ひがん-
25/6/20(金)
新宿ピカデリー
将来を嘱望されている若い指揮者、その婚約者チェリストが失踪。代理として入ってもらう女性が彼の心のスキマを埋めていき……という王道のラブロマンス風に始まる韓国映画だが、途中からあらぬ方向へとどんどん物語が加速していって、まったく想像もつかない展開に驚かされ続ける。人間がだれもが心に秘めている昏い欲望を、露悪的なほどにどぎつく前面に出し、それを密室サスペンスと結びつけている。いや、このラブロマンスがまさかの密室サスペンスになるということさえ序盤では想像できなかった。最初から終わりまで、本当に圧倒されっぱなしの作品だった。
25/5/31(土)