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日本映画の新たな才能にフォーカス

イソガイマサト

フリーライター

サスカッチ・サンセット

情報を何も入れずにいきなり観たら面食らうし、間違いなく戸惑うはずだ。何しろ、北米の霧深い森の中で生活する4頭の未確認生物“サスカッチ”の1年間を描いた本作は、人間が理解できるセリフやナレーションが一切ない。 2足歩行をする毛むくじゃらの生き物が、森の中で起こるさまざまな出来事に慄いたり、怒ったりするのをただただ観察することになるその状況は、『2001年宇宙の旅』(68)の冒頭のシーンを延々観続けるようなもので、なかなかの苦行だ。 説明過多の映画が普通になりつつある人たちは“いったい何を観せられているんだ?”と思ったりして、耐え難いものがあるかもしれないけれど、それを受け入れてスクリーンに集中すると、いろいろなものが見えてくる。作り手たちが訴えたいものが高濃度で立ち上がってくる。 いや~こんな攻めている挑発的な映画はなかなかない! 『ミッドサマー』(19)などの鬼才アリ・アスターが製作総指揮に立ったから、私たちは“サスカッチ”の世界を垣間見て人間社会の問題についても改めて考えさせられることになるのだ。

25/5/28(水)

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