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水先案内人のおすすめ

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政治からアイドルまで…切り口が独創的

中川 右介

作家、編集者

パフィンの小さな島

アイルランドとイギリスのアニメ映画。人間は出てこない、動物たちだけの世界。だが、種族をこえて共通の言語で話す(吹き替えなので、当然、日本語で)。鳥をはじめ動物たちは擬人化されているし、背景は写真のようなリアリズムではなく、まさに絵本の世界。ときどき、ミュージカルっぽく歌うシーンもある。人気のあるTVシリーズがもとで、その長編版だそうだ。そのせいか、主人公や舞台についての説明はあまりないので、事前に公式サイトを読んでおいたほうが、世界観というかキャラクターの関係などがわかりやすい。 パフィンは、「ニシツノメドリ」という海鳥のことで、その子どもの姉と弟が主人公。大人の鳥も出てくるが、基本は子どもたちの物語。嵐のせいで別の島から逃げてきた生き物たちが、パフィンの島に流れ着くところから始まる。エトピリカという鳥の女の子が、いわば「転校生」として小鳥たちのコミニュティに入ってきて、いろいろと事件が起きる。 動物たちが別の島に流れ着くのは「気候変動」のせいではあるのだが、「戦乱」を逃れてきたことのメタファーとも解釈できる。鳥同士でも種族が違えば文化も異なり、それによる軋轢も描かれ、お互いに違いを認め合いましょうという多様性の重要さを伝えようとしているようでもある。 ほのぼのした自然系だが、メッセージ性もあるアニメで、日本の場合、そういう作品は、「娯楽を装うお説教」になりがちだが、そういうメッセージがまわりくどくなくストレートなので、逆にお説教にならないのがいい。

25/5/30(金)

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