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Tak
美術ブロガー
五大浮世絵師展 歌麿 写楽 北斎 広重 国芳
25/5/27(火)~25/7/6(日)
上野の森美術館
江戸時代の粋と華が、上野の森美術館に集結しています。『五大浮世絵師展―歌麿 写楽 北斎 広重 国芳』は、その名の通り、時代を超えて愛され続ける五人の天才絵師の名品約160点を一堂に紹介する、まさに浮世絵ファン垂涎の展覧会です。 まず、今回の主役である五人の絵師たちは、それぞれが個性と魅力を放っています。喜多川歌麿は、江戸の女性たちの美しさや日常を繊細なタッチで描き出し、美人画の分野を切り拓きました。東洲斎写楽は、役者絵において大胆な構図と誇張された表情で一世を風靡し、今なお謎に包まれた存在です。葛飾北斎は、「富嶽三十六景」に代表されるように、ダイナミックな構図と斬新な発想で日本だけでなく西洋美術にも大きな影響を与えた巨匠です。歌川広重は、情緒あふれる風景画を数多く生み出し、「東海道五十三次」など旅と自然の美しさを私たちに伝えてくれます。そして歌川国芳は、ユーモアと奇抜な発想、迫力ある武者絵や動物画で独自の世界を切り拓きました。 この展覧会の最大の魅力は、そんな五大絵師の名作を一度に見比べることができる点です。美人画、役者絵、風景画、武者絵、動物画と、幅広いジャンルを網羅しているため、浮世絵の多彩さや、時代ごとに移り変わる表現の妙を存分に味わうことができます。展示空間を歩いていると、絵師同士が競い合い、刺激し合った痕跡や、時代の中で進化していった浮世絵の魅力が、まるで物語のように浮かび上がってきます。 さらに、浮世絵は知識がなくても直感的に楽しめる芸術です。鮮やかな色彩や大胆な構図、思わず微笑んでしまうユーモアや、江戸の人々の息遣いが伝わってくる表情やしぐさ。歴史や美術に詳しくなくても、自由な視点で心に響く一枚に出会えるはずです。大河ドラマを見ていなくても、浮世絵に興味がなかったという方にも、肩ひじ張らずに「感じる」体験をしていただきたい展覧会です。 しかも今回は、通常は有料となる音声ガイドが無料で利用できます。歌舞伎俳優・尾上松也さんがナビゲーターを務め、各作品の魅力やストーリー、江戸時代の文化、絵師にまつわるエピソードについて、テンポの良い語りが展開されます。作品の背景や絵師たちのエピソード、見どころを丁寧に解説してくれるので、初めて浮世絵を観る方も深く味わえること間違いありません。展覧会の空気の中で、江戸のエンタテインメントにどっぷり浸かってみてはいかがでしょうか。
25/6/1(日)