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鋭い視点でアートの見方を指南
村田 真
美術ジャーナリスト
企画展「岡本太郎と太陽の塔―万国博に賭けたもの」
25/4/26(土)~25/7/6(日)
川崎市岡本太郎美術館
いまでこそ見慣れてしまいあまり違和感を感じなくなったが、55年前の大阪万博で丹下健三設計のモダンな大屋根をぶち破って屹立したときの「太陽の塔」は、まさに「なんだこれは!」と叫ばずにはいられない「ベラボー」な代物であった。フランス仕込みの岡本太郎が万博のプロデューサーを依頼されたとき、きっと1889年のパリ万博時に建てられたエッフェル塔のことを思い出したに違いない。つくったものが賛否両論激しいほど人々の記憶に残るはずだと。結果は目論見どおり、ほかのパビリオンがすべて解体された後も、撤去されるはずだった塔だけが残り、とうとう重要文化財に指定されるまでに至ったのだ。本展はまず、日本の伝統風俗や縄文土器を捉えた岡本太郎による写真が紹介され、それが万博の掲げた「人類の進歩と調和」のアンチテーゼとしての「太陽の塔」に結実していく過程がたどれる構成。
25/6/3(火)