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日本美術、西洋美術をバランス重視で
木谷 節子
アートライター
オランジュリー美術館 オルセー美術館 コレクションより ルノワール×セザンヌ―モダンを拓いた2人の巨匠
25/5/29(木)~25/9/7(日)
三菱一号館美術館
一般的にはルノワールは印象派、セザンヌはポスト印象派の画家、というイメージが強いので、この組み合わせはちょっと意外かもしれないが、ピカソやマティスら20世紀美術を牽引した画家たちにとって、2人はまさに「モダンを切り拓いた画家」という位置付けなのだそう。というわけで、本展では、印象派以降の古典回帰が逆に後世に影響を与えたルノワールと、幾何学的なかたちを駆使して構築的な絵画を目指したセザンヌの作品を、比較しながら紹介中。華やかな色彩とボリューム感あふれるルノワールに、粛々と構造を追い求めるセザンヌ。あらためて2人の芸術を注視すると「出発点は同じなのに、こんなに違うんかい!」と感慨深いものがある。と同時に、ピカソが彼らのスタイルをキュビスムや新古典主義に昇華させた最後の展示室は、本当に感動的だった。ルノワールの《ピアノの前の少女たち》やセザンヌの《画家の息子の肖像》など、オランジュリー美術館が誇る名作も満載。17年前、ルノワール終焉の地、カーニュ=シュル=メールのアトリエを取材した時、若くてあっかるい館長さんが「セザンヌ家とは今も仲良くしてんのよ〜」と言っていたことを思い出し、なんか胸熱でした。
25/6/8(日)