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水先案内人のおすすめ

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日本映画の新たな才能にフォーカス

イソガイマサト

フリーライター

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相手の気持ちがちょっと読める。住野よるの同名小説を実写化した本作は、そんな特殊な能力を持った主人公の男子高校生・京とそれぞれに秘密を持つ4人のクラスメイトをめぐる青春ムービー。 京が見る相手の心象や心の浮き沈みをシーソーや!などの記号で視覚化し、SNSで他人と簡単に繋がれているようで、その実、相手の本当の気持ちが分からない現代人をシニカルに浮き上がらせていくところがこの作品ならではの面白さだ。 だが、みんな自分の素顔は隠して他人の顔色ばかり伺っているだけ。他人の心が見える京の能力がそのモヤモヤする人間関係を逆により複雑にするから、みんないったいどうしたいの?っていうイライラばかりが増幅する。それだけに、停滞した状況に思いがけない人物が風穴を空けるクライマックスが鮮烈! 京役の奥平大兼を始め、出口夏希、佐野晶哉(Aぇ!group)、菊池日菜子、早瀬憩といった次代を担う実力派の若手俳優陣がそれぞれのキャラクターを生き、本物の鼓動を響かせているのも見逃せない。彼らの息吹きをしっかり捕まえた中川駿監督(『少女は卒業しない』)の繊細な演出にも目をみはる。

25/6/6(金)

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