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水先案内人のおすすめ

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映画から自分の心を探る学びを

伊藤 さとり

映画パーソナリティ(評論・心理カウンセラー)

アメリカッチ コウノトリと幸せな食卓

『ニュー・シネマ・パラダイス』を思い起こさせる映画だった。描くテーマは違うのにそう感じてしまうのは、主人公の男が窓の向こうで繰り広げられるある夫婦の光景に目を輝かせている姿からだ。このチャーリーという主人公が非常にユニークで興味深い。無実の罪で投獄されるも彼は看守に対しても反抗的な態度をとらない。生きる楽しみを探すことに注訳し、たどり着いたのが他者の日常ということから、彼が平和主義者だとわかる。 実は映画全体からもその感情を読み取れるのは、終始、軽やかなメロディが流れ、目を覆うようなシーンは一切出てこないからである。このことから監督自身も、主人公チャーリーに近しい思想の持ち主なのではと推測するのだが、描いていることは“人間の愚かさ”が招く“不幸”と、“人の優しさ”から生まれる“希望”なのだ。 人種差別や優生思想が原因で巻き起こる紛争や戦争は、多くの人の目を曇らせてしまう。しかし物事を一歩引いて見ると、戦う姿ほど愚かしいことはないと伝えるような作品だった。『ライフ・イズ・ビューティフル』に匹敵する主人公の純粋さに元気を貰った。

25/6/10(火)

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