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日本映画の新たな才能にフォーカス
イソガイマサト
フリーライター
国宝
25/6/6(金)
TOHOシネマズ日比谷
スゴいものを観た。歌舞伎とは? 芸とは? 役者とは? 才能とは? 血筋とは?世襲とは? 生きるとは? 人間とは? そうしたことが歌舞伎の演目となぞらえた骨太な人間ドラマで描き出されるが、細部にまでこだわった映像絵巻は息をのむほど美しくてカッコよくて凄まじい。 何を見せるか? どう伝えるか? そこにはひとつも迷いがない。精度の高いナイフのように鋭利な映像が静かなうねりととてつもない強度で無駄なく連続し、演者たちの高度な芝居が最高の形で目の前に広がったから、狂おしい展開に胸が苦しくなりながらも心は躍り、175分間一瞬も目が離せなかった。 李相日監督、恐るべし! ついに、こんなに高い地平にまで登り詰めてしまったのか? 吉沢亮、横浜流星を始めとした日本の俳優陣の底力も見せつけられた。日本映画を観て、こんなに興奮したのは久しぶりだ。可能な限りデカいスクリーンでもう一度観てみたい!
25/6/9(月)