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水先案内人のおすすめ

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パリ発、ヨーロッパで話題の作品を

佐藤 久理子

パリ在住、文化ジャーナリスト

フォーチュンクッキー

静かで大きなことは起こらないのに、とても引き込まれる作品。モノクロの艶やかな映像と相まって、なるほど、「ジム・ジャームッシュにインスパイアされたインディーズ映画」という謳い文句も納得である。監督はイラン出身、ロンドンで映画を学んだババク・ジャラリ。 もっとも、本作にはもう少し社会的な要素がある。以前アフガニスタンの米軍基地で通訳をしていた主人公ドニヤが、アメリカに移住してからもPTSDに悩まされていること。カウンセリング・ドクターの微妙に偏見を感じさせる対応。西海岸でありながら、どこか殺風景で移民の多い街並みなど。   だが細部にニュアンスがありつつ、主軸はあくまで孤独な女性のガール・ミーツ・ボーイ物語。それがフォーチュンクッキーを縁に描かれるところが粋だ。 後半に登場するジェレミー・アレン・ホワイトは、本作のもうひとつの魅力。少ない出番ながら、映画にドキドキするような味わいを加味している。

25/6/11(水)

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