評論家や専門家等、エンタメの目利き&ツウが
いまみるべき1本を毎日お届け!
取材経験豊富な記者の目でセレクト
平辻 哲也
映画ジャーナリスト
罪人たち
25/6/20(金)
新宿バルト9
『ブラックパンサー』シリーズのライアン・クーグラー監督とマイケル・B・ジョーダンがタッグを組んだ本作。読みは「ざいにん」ではなく「つみびと」。ポスタービジュアルからはあまり伝わってこないが、サバイバル・ホラー映画。しかも、ちょっと変わっている。 舞台は1930年代、禁酒時代の米南部。双子の兄弟(ジョーダンが2役)が、ダンスホールを開店させるが、招かざる者が現れ、恐怖の一夜となってしまう……。前半と後半でジャンルが転換するブラック版『フロム・ダスク・ティル・ドーン』といった感じ。 現代音楽のすべての原点というべき、ブルースの魔力を、ホラーに結びつけたのはユニーク。制作陣は、全編IMAX70mmフィルムカメラとウルトラ・パナビジョンカメラを駆使し、大迫力で観客を魅了する。全米では2週連続No.1を記録し、ロッテントマトでは批評家スコア98%&観客スコア97%という高評価を獲得。 やりたいことを詰め込んだせいで、上映時間は2時間17分と長尺。一番やりたいことは、一見蛇足のようなラストに集約されている気がした。ブルースとホラーが好きな人に。
25/6/16(月)