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演劇鑑賞年300本の目利き

大島 幸久

演劇ジャーナリスト

舞台『みんな鳥になって』

上村聡史の演出、8人の出演者による演技力の魅力に注目するのが『みんな鳥になって』だ。そして何よりワジディ・ムワワドの戯曲が最大の鍵となる。『炎』を始めとするムワワド作品と上村のコラボは第4弾目。壮大な叙事詩の世界が特徴の舞台を作ってきた。さらに登場人物が複雑、多様に絡み合う。 今作の主人公はユダヤ系ドイツ人の青年エイタン。ベルリン出身で遺伝学を学んでいる。最初の舞台背景はニューヨークの図書館。ここで出会ったワヒダに一目惚れして声をかける。ワヒダはイスラム史を学ぶアラブ系アメリカ人。この出自が2人にとって大きな壁となる。民族、宗教、家族の葛藤へと向かうのだから。 配役はエイタンが中島裕翔、ワヒダが岡本玲。エイタンの父ダヴィッドは敬虔なユダヤ教徒で2人の婚姻を認めない。岡本健一が演じる。母ノラは那須佐代子。恋人2人は父のルーツを探るべく祖母レアがひとりで住むイスラエルへと向かうのだが……。レアは麻実れいが扮する。 観客には集中力、想像力が求められるだろう。ムワワド作品では過去と向き合い、未来への祈りで「今」を生き抜くことになる人々を見るのである。 他の共演者も注目したい。 松岡依都美(急速に成長中)がイスラエルの兵士エデン、伊達暁が16世紀の外交官ワザーン、相島一之がエイタンの祖父エトガール。力強く美しく刺激的な言葉をどう操るか?

25/6/19(木)

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