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イヤな映画、主人公の悲劇がお好み
真魚 八重子
映画評論家
カーテンコールの灯
25/6/27(金)
Bunkamuraル・シネマ 渋谷宮下
『セイント・フランシス』のケリー・オサリヴァンとアレックス・トンプソン監督による作品。ダンは建設作業員だが、いつ怒りが噴き出すかわからない不自然さがある。娘も学校でトラブルを起こし、カウンセリングを受けないと退学だと告げられる。この家族には過去に何か大きな出来事があったらしい。ダンは偶然、街の劇団の誘いを受けて、シェイクスピアの『ロミオとジュリエット』の芝居に参加することになる。芝居の練習が笑いを誘うと同時に、ダンの心の治癒につながる過程が興味深い。さらに本作は演劇の良さを伝えると同時に、シェイクスピアのセリフの見事さも再認識できる。この家族が抱えた問題に、各々が向き合い苦痛を克服していこうとする姿に、涙腺が刺激される作品だ。
25/6/16(月)