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お気に入り映画をイラストで紹介
高松 啓二
イラストレーター
罪人たち
25/6/20(金)
新宿バルト9
折れたギターネックを持った若者が、教会に入ってくる。ただならぬ様子に父である牧師は何があったのか尋ねる。──1932年ミシシッピ。故郷に戻ったスモークとスタックの双子の兄弟は、納屋を買い取ってダンスホールをオープンさせるが……。 兄弟を一人二役でマイケル・B・ジョーダンが演じる。兄を青系で弟が赤系で色分けし、性格も微妙に違えているのがコミック的で面白い。しかし、本作の最大の魅力は、全編ブルースの音色が響き渡る音楽である。黒人ミュージカルのようなパワフルなリズムにゾクゾクさせられる! ところが中盤からホラー映画に変貌し、面食らう。さらにKKKまで登場して、もう盛りだくさん。 映画が、あらぬ方向に暴走するのに統一感を失わないのは、ブルースの存在である。元々、ブルースは悪魔と関係している伝説もあり、ブルースの誕生と継承も描く。特に伝説のブルースマン、バディ・ガイが出演しているのは、その証であろう。昔、日比谷の野音で彼の生演奏を聴いたことがあり、これにはジンとした。リゾネーターギターが渋いぜ!
25/6/18(水)