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日本映画の新たな才能にフォーカス

イソガイマサト

フリーライター

28年後...

『28日後…』(02)のダニー・ボイル監督と、『シビル・ウォー アメリカ最後の日』(24)の監督でもある脚本のアレックス・ガーランドが再タッグを組んだ最凶サバイバル・ホラー・シリーズの第3作。タイトル通り、1作目の28年後を描いた本作だが、オリジナルやボイルとガーランドが製作総指揮に回った第2作『28週後…』(07)と決定的に違うのは、これが2020年に起きた世界的パンデミック以後のもはや絵空事ではないリアルな恐怖を描いているところだろう。 ウイルスの流出でロンドンは崩壊。感染を逃れた者たちは本土から離れた孤島に身を置き、対岸の感染者たちから身を守るために監視を続けている。彼らは他県民を執拗に警戒し、寄せつけない行動に出たコロナ禍における一部の日本人と何ら変わらない。 襲ってくるのも死体から蘇った架空のモンスターの“ゾンビ”ではなく、ウイルスの感染でおぞましい姿に成り果て凶暴化した私たちと同じ人間として描かれる。彼らは彼らなりに必死に生きようとしているだけだから、これまで以上に複雑な気持ちになるのだ。 12歳の少年・スパイクもそれは分かっている。だが、母親の重病を治せるかもしれない噂の医者を求めて、彼女を連れて本土にわたる。ここが本作の大きなポイント。そこにはいろいろなタイプの感染者がうじゃうじゃいる。だが、医者は本土にしかいない。そして、そこでは実際にさまざまな恐怖が彼らを襲い、極限の選択をいくつもいくつも瞬時に下さなければいけなくなって……。 そんな地獄の道行きが目を覆いたくなるような衝撃的な映像でガンガン迫ってくるから没入感がハンパない。そのとき、自分だったらどうするか? どうすれば生き残ることができるのか? 脳が高速で回転し、思いがけないラストでは言葉を失う。だが、これは起こりうる最低最悪の未来。そのときに備えて、観ておいた方がいいかもしれない。

25/6/24(火)

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