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クラシック業界ご意見番

東条 碩夫

音楽評論家

東京交響楽団 川崎定期演奏会 第101回

“戦争の虚しさを訴える「戦争レクイエム」“      東京交響楽団が、音楽監督ジョナサン・ノットの指揮で、英国の近代作曲家ベンジャミン・ブリテンの大曲「戦争レクイエム」を演奏する。これは1962年に初演されたもので、ラテン語の典礼文と、第1次世界大戦で戦死した英国の若き詩人ウィルフレッド・オーウェンによる英語の詩とを組み合わせた歌詞が使われた、戦争の悲惨さを告発する作品である。 今回の演奏では、第2次世界大戦で戦ったイギリス、ドイツ、ソ連(現ロシア)の歌手がソリストをつとめるといった具合に、ブリテンの本来の狙いに沿った組み合わせのソロ声楽陣が登場することも話題であろう。「敵対して戦死した兵士たち」が、ともに「さあ、もう眠ろう‥‥」と歌って結んで行くあたり、感動させられる瞬間だ。 因みにこの「戦争レクイエム」は、8月にも兵庫芸術文化センター管弦楽団が、また9月にも広島交響楽団が演奏することになっている。まさに第2次世界大戦終結80年記念年に相応しい試みである。 ※7月19日 ミューザ川崎シンフォニーホール  7月21日 サントリーホール

25/7/11(金)

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