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日本映画の新たな才能にフォーカス

イソガイマサト

フリーライター

映画「F1(R)/エフワン」

製作にも名を連ねるルイス・ハミルトンを始め、マックス・フェルスタッペン、ランド・ノリスといった現役F1ドライバーも参戦! あのアイルトン・セナやアラン・プロスト、ナイジェル・マンセルなどのレジェンドたちの名前もブラッド・ピットのセリフで語られ、今年から最強チームのレッドブル・レーシングの所属になった日本人ドライバー・角田裕毅の名前もレースの実況中継のシーンでは飛び出すから、F1ファンはそれだけで熱くなる。 もちろん、F1に馴染みがない人も、ブラピが実際に運転したF1マシンの美しいフォルムや最新の撮影システムでとらえた時速300キロ超の高速バトルの迫力を体感できるから手放しで盛り上がることができる。 でも、本作をもっと楽しみたいたなら、F1のルールを少しは知っておいた方がいいだろう。F1はオーバルコースを高速で何周も激走するインディカーレースなどと違い、高速で走るところと減速を強いられるシケイン(鋭い角度の連続コーナー)があり、ドライバーのテクニックがそこで試される。長い周回を重ねるためにはタイヤ交換も不可欠で、履き替えるタイミングや速く走れる溝のないスリックタイヤと雨天時などに最適な深い溝のあるレインタイヤのどちらを装着するのかの判断がレースの行方を左右。ドライバーだけではなく、チームが一丸となった頭脳戦やタイヤを無駄なく迅速に変えるピットクルーの腕が物を言うことになる。マシンを最高の状態に仕上げるメカニックとドライバーとの信頼関係、意見や情報の交換も勝利とは無縁ではないし、逆の言い方をするなら、そこに歪があるチームは絶対に年間を通じたコンストラクターズチャンピオンにはなれない。 そして本作を観る上で最も知っておいた方がいいのが、ファースト・ドライバーとセカンド・ドライバーの格差だ。同じ見た目のマシンに乗り、同じレーシング・スーツに身を包んでいても、チームのふたりの扱いはまるで違う。簡単に言うなら、より性能のいいマシンはファースト・ドライバーに与えられることになるし、セカンド・ドライバーが前を走っていたとしても減速を強いられ、ファースト・ドライバーを前に行かさなければいけないケースも度々訪れる。 そういった背景を知っておくと、劇中で「じじい」呼ばわりされる往年の名レーサー(ブラピ)と血気盛んなルーキードライバー(ダムソン・イドリス)との駆け引き、ヒューマンなバトルもまた違った見え方になるはずだ。

25/6/29(日)

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