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日本美術、西洋美術をバランス重視で
木谷 節子
アートライター
スウェーデン国立美術館 素描コレクション展 ―ルネサンスからバロックまで
25/7/1(火)~25/9/28(日)
国立西洋美術館
スウェーデン国立美術館より、世界最高峰の素描コレクション約80点が初来日。素描は環境の変化に脆弱であるために、外国(ましてや遠く離れた極東)に作品を運ぶなんて相当ハードルが高いはずだが、日本での展覧会を決定し公開にこぎつけたスウェーデン国立美術館と国立西洋美術館には本当に敬意を表したい。 本展は、イタリア、フランス、ドイツ、ネーデルラント(オランダ、ベルギー)のルネサンスからバロックまでの素描の名品を紹介。イタリアはカラッチやパルミジャニーノ、フランスはジャック・カロやプッサン、ドイツはなんと!デューラーやグリューネヴァルト、ネーデルラントは、ルーベンス、ブリューゲル、レンブラント…と、巨匠たちの「手の跡」を見ることができるのは眼福だが、なかには恐竜のような足を持つ白鳥(に乗った騎士)の素描や、コスプレ用のデザイン画と考えられる《蛙男》の素描など、「?」な作品もあって面白かった。 最後のネーデルラントの章で、描かれるモチーフが、他国のルネサンス風のものから、市民階級好みの風俗画や人物画、動物画などにガラリと変わったのは、「新たな時代」「新たな価値観」の到来を感じられて新鮮。個々の作品では、チョークや木炭を使っているはずなのに鉛筆で描いたかのようなデューラーの細密な線や、逆にレンブラントの葦ペンによる太く柔軟な筆致が印象に残った。
25/7/8(火)