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ジャンル横断、センスのいいセレクト
立川 直樹
プロデューサー、ディレクター
ストレンジ・ダーリン
25/7/11(金)
新宿バルト9
2018年から2020年にかけてコロラドを皮切りにワイオミング、アイダホへと広がり、オレゴンの山奥で終末を迎えた連続殺人事件を、警察や目撃者の証言を基に映画化した『ストレンジ・ダーリン』は、かのスティーヴン・キングの言う通り、「巧妙な傑作」だ。連続殺人鬼の恐怖に覆われた町を舞台に、モーテルで出会った男女の一夜の過ちが事件に変貌する様を、6つの章立て描いているのだが、「この映画は6部構成」という最初の字幕の次の字幕が「第3部」という始まりから最後まで観客の予想を全部裏切っていく展開が凄い。そして、監督・脚本を務めるJT・モルナーが中学生になる頃にはロマン・ポランスキー、セルゲイ・パラジャーノフ、フェリーニにベルイマンといった監督の映画を必ず観るようにしていたという話を聞くと、全編を貫く美意識と奇妙なねじれ感の訳もよくわかる。
25/7/6(日)