評論家や専門家等、エンタメの目利き&ツウが
いまみるべき1本を毎日お届け!
ドキュメンタリー評論のエキスパート
村山 匡一郎
映画評論家
ザ・ウォーク ~少女アマル、8000キロの旅~
25/7/11(金)
アップリンク吉祥寺
今日、世界の難民は1億人を超え、その4割が18歳未満の子供たちといわれる。そんな戦争や迫害に苦しむ子供たちへの国際社会の関心を高めるため、2021年に始められたプロジェクトを追ったドキュメンタリーだ。シリア難民の9歳の少女アマルを象った3.5メートルの巨大な人形を操りながら、トルコからフランスに至る旅のプロジェクト。トルコ国境の難民施設で暮らす実在のシリア難民の少女アシルの姿と思いを重ねながら、アマルの旅は続くが、アマルの人形遣いにシリア難民やパレスチナ難民が参加し、彼らの人生も交錯。旅先の国々でアマルを見つめる人々の驚きと表情が見ものだが、プロジェクトの記録という以上に、人形に擬人化された難民少女の夢と現実を巧く昇華させた世界に心惹かれる。
25/7/7(月)